
研究職の仕事はAIでなくなるってホント?
研究者として働き続けるためにはどうしたらいい?
はじめまして。私(@hoheikun_cheme)は、大学院卒業後に化学メーカーで研究開発職として働いています。
結論:研究職の”一部”の仕事はなくなっていきます。
つまり「今後なくなるであろう研究者の仕事」を担当されている方は、要注意。
今後、研究者として生き残っていくためには、
1.なくならない仕事
2.なくなる可能性のある仕事
の両方を把握した上で将来を考えていく必要があります。
でも安心してください。
本記事の内容を理解するだけで、研究職の将来性への不安も払拭されます。
今後も研究職で働き続けたい方は、ぜひ最後までご覧ください。


研究職の仕事がなくなる理由は?


世間では「AIの台頭によって、研究職のようなホワイトカラーの仕事がなくなる」といわれています。
ではなぜ「研究職の仕事がなくなる」と言われるのか?
理由はAIやロボットの導入により、業務の自動化が進んでいるから。
これにより、今まで研究者が行ってきた単純作業の一部が不要になります。
つまり今、AIに代替されるような仕事をしている方はピンチです。
今後もAI技術の発展に伴い、徐々に仕事は減っていくでしょう。
これが「研究職の仕事がなくなる」といわれる一番大きな理由です。



ブルーカラーの仕事の方が残りやすいのは意外ですよね
しかし全ての仕事がなくなるというわけではありません。
- 今後なくなっていく仕事
- 今後も必要とされる仕事
それぞれが明確になってきたというのが現状です。



「AIを使う側」か「AIに使われる側」にわかれるということじゃな
現状、人にしかできない業務はまだまだあります。
時々「今は大丈夫かもしれないけど今後さらに技術が発展したら、、、」といった声を聞きます。
しかし「それが実現するなら、研究職以外の仕事にも大きく変化がある」というのが私の意見です。
とはいえ「自動化されている業務」「これから減っていく業務」を知っておくことは、今後の為にも必要です。



このあと詳しく解説いきます!


「なくなる」可能性のある研究職の仕事


それでは、今後AIによってなくなる可能性のある研究職の業務を3つ紹介します。
1. 定型的な入力作業
2.単純なチェック作業
3.スクリーニング作業
定型的な入力作業
まず真っ先になくなると言われているのが、定型的な入力業務。
例えば
- 在庫管理ソフトへの入力
- Excelへのデータ入力
などですね。
こういった随時発生する業務の多くは、コンピューターによって自動化されます。(現在進行系で)
また、実験ノートのような紙の上での記録をPCに入力するといった作業も、システムの導入で簡単に自動化できますね。



このあたりは私の会社でも導入されていってますね
単純なチェック作業
コンピュータはチェック処理が非常に得意です。
人に比べ、より高速かつ正確なチェックができてしまいます。
「数字の間違い」や「不正」の許されない研究者の世界では、正確にチェック可能なコンピュータは重宝されます。
また監査法人では、AIを活用し不正リスクを検知する仕組みを取り入れていることも…。
今後、人の手によって入力されたデータがAIにチェックされる日はそう遠くありません。



人だとミスがあるし
入力を書き換えられてしまうと不正が起こってしまうし



不正はわしがゆるさぬ
スクリーニング作業
スクリーニング・分析力はAIの真骨頂です。
- 実験に必要な化学薬品を探しだす
- 化学反応の組み合わせのスクリーニング
- 文献調査・資料調査
- 画像解析・認識
などの分析を、的確かつ瞬時に行います。
あらゆるデータに基づいて分析されるため、人より高度な分析結果がでることもしばしば。
分析後の施策を考えるのは人間ですが、そこにたどり着くまでの作業が簡略化するのはAIの仕事です。



簡単な分析作業はAIでも簡単にできるんですね


今後も「なくならない」研究職の仕事


「研究者の業務がなくなっちゃう…」と不安な方も安心してください。
今後も必要とされる研究職の業務はたくさんあります。
いくらAI技術が発展しても
- 人間でないと補えない業務
- AIがあるからこそ必要になる業務
が存在するからです。
今後もなくならない研究職の仕事は以下4つ。
1.新しい問題設定・仮説立案
2.共同研究・対人コミュニケーション
3.AIやシステムの導入・動作チェック
4.経営の判断や提案
新しい問題設定・仮説立案
「新しい問題設定・仮説立案」は、研究職の中でも最も人間らしい、創造的な仕事のひとつです。
問題設定とは、
- 「何を明らかにすべきか?」
- 「どんな課題が未解決なのか?」
- 「それを解決すると、何がうれしいのか?」
つまり、「今の科学・技術・社会において、解くべき価値のある問いは何か?」を見つけ出すステップ。
仮説立案とは、
- 「この現象は〇〇が原因ではないか?」
- 「こうすれば性能が向上するかもしれない」
- 「もしAをBに変えたら、Cという結果が得られるかも」
これらは、問いに対して検証可能な答えの予想(=仮説)を立てることです。
このような問題設定と仮説立案はAIには難しく、「なにを問うか」という仕事は研究職の存在意義とも言える業務です。



研究は仮説を立てて検証して
問題点を洗い出すということをひたすらするのが仕事ですねー
共同研究・対人コミュニケーション
研究というと「一人で黙々と実験や解析」というイメージがあるかもしれませんが、
実際には、
「他者と協働して価値を生むプロセス」
です。
研究成果を生む・活かすには、社内外の多くの人との関係性・調整・意思疎通が不可欠です。
例えばAIには難しい、
1.専門技術が分からない人に対しても「わかりやすく、納得できる」よう伝える力
2. 雰囲気や表情、間の取り方などの「非言語情報」をくみ取る能力
3.失敗・意見の対立・緊急時など、冷静かつ共感的に対応すること
4.長期的な関係を築くには、誠実さや一貫性、人柄も重要
といった人間らしさも重要です。
そういったコミュニケーションも含め、人の力はまだまだ重宝されます。というより必須です。



研究って結構人との関係が重要ですよね
AIやシステムの導入・動作チェック
そもそもAIを導入するのは人間です。
研究者は、システムを導入するために
- 導入の判断
- 他部署との連携(システムエンジニアなど)
- 導入後の動作チェック
など、行うべき業務はたくさんあります。
「最初だけでしょ?」と思うかもしれませんが…。
データの追加や変更など、研究者は常にメンテナンスをする必要があります。
つまり、IT技術が発展するからこそ発生する業務もたくさんあるということですね。



こういうちょっとしたITスキルを覚えておくと
今後重宝される研究者になれるよ



1つのことに特化しているものの方が多いからのー
経営の判断や提案
AIは、経営分析や指標を出すことは得意です。
しかし
- 新しい提案
- 課題や問題点の洗い出し
などはいくらAIでも結構難しい。
分析のその次のステップは人間にしかできないため、それができる研究者は重宝されます。



さすがにAIが経営にまで使われることは
なかなかないと思います


研究職が生き残るために必要なスキル


次は、研究者として働き続けるために必要なスキルを3つ紹介します。
ITスキル
これからの時代において、ITスキルはもはや必須です。
特に
- 効率化
- システムの導入
- メンテナンス
は、ITスキルがないことには前に進めませんからね。
古いやり方のまま仕事を続けている方は、どんどん市場価値も下がっていきます。
逆にITスキルがあれば、将来AIに仕事を取られない人材になることも可能です。
ITスキルを伸ばす方法は
- ITパスポート取得でITのルールをざっくり把握
- VBA(Excelマクロ)の練習
- プログラミング言語の学習
などがおすすめになります。



完璧を目指す必要はないですが
少しでも手を付けておくことで
見えてくる世界はかなり変わってきますよ
語学力
グローバル化が進む現代社会において、語学力はどの職種にも必要とされるスキルです。
語学力が活かせると…
- 外資系企業に転職できる
- 外資系の取引先との調整役を任せられる
などのメリットがあります。
実際に語学力があるだけで、求人の給与水準も大きく上がりますからね。
このように「ただの化学系研究者」ではなく「化学×語学力」など、スキルの組み合わせができると市場価値は一気にたかまります。



ほかにも化学とITをかけあわすと
希少性があがりますね
創造力
創造力が求められる具体的な場面は、
例えば、「この反応が低収率になるのはなぜか? 別の視点から解決できないか?」といったことに対し、
条件を変える、材料の設計を工夫する、機構を疑うといったことをする。



創造力=常識を疑うですね
他にも、「バイオで使われている機構を、化学材料開発に応用できないか?」と考え、
「化学 × 機械学習」、「化学反応 × 分子ロボット」と分野横断に的に考えることもあります。
このように幅広い知識をつけ、自分の専門分野以外にも目を向ける力をつけることが重要です。



わしも様々な武将の真似をしておったんじゃ


全ての企業がいますぐAIを導入するわけではない





自分にはスキルもないしちょっと心配、、
安心してください。
全ての企業が今年からAIを導入していくわけではありません。
企業によっては、
- 紙文化を大事にしている
- 会社の独自ルールが多すぎる
など、変化を好まないケースも多々あります。
こういった企業では今後もしばらく変わらない状態が続くでしょう。
また「これからAIを導入しよう」という企業でも、すぐに人間の手が不要になることはありえません。
とはいえ10年20年後となってくると、話は変わってきます。
入社後に任されるはずだった単純業務もほとんど不要になってる可能性がありますからね。
つまり今がチャンスということです。
今のうちに研究職へ転職する→専門性を身につける
これなら数年後、研究職の仕事の一部がAIに代わっても生きていけます。


【まとめ】研究職の仕事が完全になくなることはない


今回は、研究職の将来性について解説してきました。
結論として、研究職の仕事は
・今後なくなるもの
・なくならないもの
の両方が存在します。
これは決してネガティブな要素ではありません。
面倒な処理が減った分、他に注力できると捉えるべきです。



研究者はより研究に集中することができるということじゃ
ただ、今後なくなる可能性のある仕事しか任されていない方は要注意。
今のうちにスキルを身につけ、将来も使える人材として働いていく必要があります。
AIに仕事を取られる代表格として挙げられる研究者ですが、皆さんが思っているほど深刻ではありませんよ。
これから研究職を目指したい方も、今はかなりのチャンスです。
ぜひ今のうちに研究職へ転職し、AIに仕事を取られない研究者を目指してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本サイト『化学業界の歩兵』では、研究職で楽しく働くための情報を発信しています。
よければ他の記事も参考にし、楽しい研究者ライフを送るための判断材料にしてください。






コメント