
化学メーカーの年収は高い方なの?
正確なデータをもとに知りたいな
製品を生み出す化学メーカー。
化学メーカーは企業の大きさによって年収の振り幅があり、「自分の年収が高いか低いか」を把握できていない方も多いはず。
ということで本記事では
■ 厚生労働省
■ 民間の調査データ
をもとに、正確な化学メーカーの平均年収を紹介していきます。
また、化学メーカーの年収が「低い」とうわさされてしまう理由と、化学メーカーをおすすめする理由を紹介しているので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
平均年収を把握することが、今後の年収アップにも繋がりますよ。
現役化学メーカー研究職
国立大卒化学工学専攻
化学メーカー転職市場を熟知
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化学メーカーの平均年収を複数のデータから紹介


結論:化学メーカーの平均年収は574万円です。
この結果は、以下
- 厚生労働省
- 日本労働組合総連合会
- doda
の3つのデータをもとに算出しました。


化学メーカーの平均年収(日本労働組合総連合会)→613万円
全国の平均年収が440万円と言われているので、化学メーカーの平均年収である574万円は高めといえます。
これは化学メーカーが専門的な仕事をするというのも少なからず影響しているのでしょう。
ただ
- 年収1000万超えの化学メーカー社員も多い
- 年収200万代の一般事務寄りな社員もいる
など、差が大きいということは頭に入れておいてください。
これだけではイメージしづらいと思うので「月収」「手取り」「生涯年収」「中央値」なども以下表に算出してみました。
項目 | 金額 | 計算式 | ||
---|---|---|---|---|
平均年収 | 574万円 | 3データの平均値 (613万+604万+506万)÷3 | ||
平均月収 | 48万円 | 平均年収(574万)÷12 | ||
月の手取り | 32万円 | (平均年収(574万)-ボーナス2ヶ月分(96万))×社保税金分(0.8)÷12 | ||
生涯年収 | 2億4,682万円 | 平均年収(574万)×43 ※新卒22歳~定年65歳まで働くことを前提 |



細かく分けるとイメージしやすいですね
化学メーカーの年収は低いといわれる原因


時々、化学メーカーの年収は低いと認識されることがあります。
しかし「化学メーカーの平均年収を複数のデータから紹介」のデータの通り、化学メーカーは全国平均と比べる年収も高いことがわかります。
この認識のズレは、以下のものがあると考えられます。
順にみていきましょう。
年収の昇給ペースが遅い
化学メーカーの年代ごとの年収を示します。
年齢 | 年収(基本給+ボーナス) | 役職 | |
---|---|---|---|
-29 | 400-500万円 | 一般職 | |
30-34 | 500-600万円 | 一般職-係長 | |
35-39 | 700-900万円 | 管理職 | |
41-50 | 800-1000万円 | 管理職-課長 | |
51- | 1000万円- | 部長- |
20代こそ他の業界と同程度の年収ですが、30代になると総合商社やコンサルに比べて昇給のスピードはゆっくりです。ただ、化学メーカーでは管理職になれば給料がグッと上がります。
また、コンプライアンス意識が高くて残業代はちゃんと全額出るので、残業が多い部署なら30〜34歳で年収550〜650万円くらいになることもあります。



若い頃の昇給ペースは遅いですね
評価制度が不明瞭
化学メーカーでは、良くも悪くも管理職になるまではみんな同じような昇給ペースで、成績評価も基本的に平均点です。新卒で入社したとき、上司から「基本、平均点しかつけないから」と言われてスタートしました。
そのときは正直、「じゃあ頑張る意味ある? 面談の時間って無駄、、、」と思ってしまいました。
というのも、誰かの昇格を早めたり遅らせたりするには、上司が人事部にしっかり説明しなけらばならず、その手間を嫌がる上司が多いからです。
実際、同じ部署で若手が年配社員を追い抜いて職位が上がったという話は、聞いたことも見たこともありません。
たまに平均より高い評価がつく人もいますが、昇給額は月5,000円程度で、正直あまり変わりません。
他の業界の人と比べてしまう
化学メーカー、特に大手に入社する人は、国公立大や難関私立大出身の方が多いと思います。そうした人たちは、大学時代の友人も総合商社やコンサルなど、他の有名企業に就職していることが多いでしょう。
そんな中で、コンサルや商社に就職した友人と給料を比べてしまうと、どうしても化学メーカーの年収は見劣りしてしまいます。実際には、日本の平均年収と比べれば十分高い水準なのに、です。
その結果、「化学メーカーは年収が低い」といった印象や噂が広がってしまうのかもしれません。
ただし、後ほど紹介するように、化学メーカーは福利厚生がかなり充実している企業が多いため、単純に年収だけで他の業界と比べるのは難しいと思います。



色々な要因で化学メーカーの年収は低いと考えられていますね
それでも理系に化学メーカーをおすすめする理由





理系には化学メーカーをおすすめします
これを読んでいる理系のあなたには化学メーカーをおすすめします。特に、就活中の理系学生は周りに流されてマッキンゼーやボスコンとかのコンサルや、三菱商事などの就職せずに、化学メーカーに就職することをおすすめする理由があります。
その理由は以下の通りです。
順に解説していきます。
福利厚生が充実している
化学メーカー、特に大手は福利厚生がとても充実しています。
たとえば会社が寮や食堂を持っていて、かなり安く利用できます。私の会社では、寮は月1万円、食堂は1食200円で利用できるので、貯金したい人やお金に余裕のない新卒には本当にありがたい制度です。
また、マウスや名刺といった仕事に必要なものも会社で用意してもらえるので、自腹を切る必要がなく、とても助かっています。



外資のコンサルとかだと自腹で買うことが多いみたいです、、、
ホワイト企業が多い
化学メーカーは成熟した業界で、理系出身の落ち着いた人が多いこともあり、ホワイト企業が多い傾向があります。
また、法令遵守やコンプライアンス意識が高く、無理な働き方を強いられることはほとんどありません。
そのため、いわゆるブラック企業のような環境はあまり見られず、ワークライフバランスの取れた働き方ができます。
特に新卒の方は、学生から社会人へと大きく環境が変わるタイミングなので、まずはホワイトな職場で社会人生活をスタートさせるのがおすすめです。
仕事の規模が大きい
化学メーカーの市場規模は非常に大きく、経産省の「化学産業の現状と課題」によれば、化学業界は製品出荷額(約46兆円)・付加価値額(約18兆円)で製造業全体の1割強を占めています。さらに2030年には100兆円にも達する見込みだと予想されています。
このような業界であるため、仕事の規模も大きくなることが多いです。
私の場合は入社1年目のときには、1億円の利益に関わる研究テーマに携わりました。仕事の規模が大きいと、関わる人が増え、やりがいもあります。
このような大きな仕事を若手のうちから経験できるのは、非常に有意義だと思われます。
まとめ
複数のデータを平均すると、化学メーカーの平均年収は574万円であることがわかりました。
化学メーカーの年収が低いと言われてしまうのは、昇給ペースの遅さ、評価制度の不透明性などの理由があると思います。
しかし、私は福利厚生が手厚く、ホワイト企業が多い化学メーカーで働くをおすすめします。
化学メーカーでゆとりのあり働き方で楽しく働いてみてください。


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