はじめまして。私(@hoheikun_cheme)は、大学院卒業後に化学メーカーで技術開発職として働いています。
インターネットで「化学メーカー」と検索すると「化学メーカー やめとけ」、「化学メーカー つまらない」という関連キーワードが表示されます。化学メーカーに従事する身としては悲しい現状です。
しかし、検索で出てきた記事をいくつかみてみると偏っており、自分が勤務する化学メーカーとはずいぶんと事情が異なるように感じました。
化学メーカーで働けばいいことも多いのに、事実とは異なるネガティブな記事を見てあきらめてしまうのはもったいないと感じました。
そこで本記事では、化学メーカーはやめとけと言われる7つの理由に対して、化学メーカー現役社員が実情を回答していきます。
化学メーカーの仕事を探している方には参考になると思うのでぜひ最後まで読んでみてください。

化学メーカー技術開発職の観点から記事を書いています
- 化学メーカーはやめとけといわれる理由7選
- 現役社員による化学メーカーの実情
こちらの記事も参考にしてください


化学メーカーはやめとけと言われる理由7選
化学メーカーは単純作業の繰り返し


「化学メーカー やめとけ」でよく挙げられるのが、「毎日の繰り返しで飽きる」というものです。製造業の中でも、特に現場オペレーターを対象に書かれているようですが、特に化学メーカー総合職の仕事には当てはまらないと思います。



総合職は仕事の範囲が非常に広いので
繰り返し作業ということにはならないと思います
現場オペレーター作業も以下にようになっています。
各種製造設備の操作
原料の運搬・投入
制御室での反応監視
製造品の品質分析
製品の取り出し・梱包・搬出
日常的な設備のメンテナンス
実際には担当分けされているため、すべて1人でやるわけではありませんが、最終的にすべての作業を覚えることになると思います。



現場オペレーターも色々とすることがあり
単純作業になってつまらないということはないと思います
化学メーカーは教育制度が整っていない


「大した教育もされず現場に放り出されて途方に暮れる」というコメントですが、化学メーカーで教育もせずに仕事をやらせるなんてことはまずありえません。
現場の仕事は危険がつきものですが、化学プラントの事故は製造業の中でも特に危険性が高いです。化学反応はいったん暴走してしまうと重大な事故につながるためです。
そのため、化学メーカーでは教育に時間をかけることが当たり前という文化が根付いているんですね。



私も半年程度教育されてから
現場に送りこまれました
化学メーカーの仕事が機械とAIに奪われてしまう


「機械とAIの発達で作業者の仕事が奪われて未来がない」といったコメントをよくみます。しかし、機械やAIの発達で人の仕事が奪われるのではなく、人が担当する仕事の内容が変わるだけです。
確かに機械の発達によって手作業が減り、一人当たりの生産効率は飛躍的に向上しました。しかし、機械が正常に動いているのか、また機械で作られたものが正常品かどうかを判断するのは人にしか判断できません。
今流行りのAIは予測や判定を計算によって処理してくれますが、その処理が正しいかどうかを検証・判断も人です。機械やAIの進歩に人も適応する必要があるのは、現場の仕事に限った話ではありませんね。



どこまでいってもAIと機械が人間の仕事を全部することはないと思います
化学メーカーは給料が低い
「化学メーカーの給料が低い」という意見をよく聞きますが、完全に間違いです。下にある国税庁のデータをみてください。化学工業(化学メーカー)は、全業種の中で最も年収が高いという結果となっています。





調査の仕方で結果は変わると思いますが
低くないことは間違いないですね
給料以外の待遇、具体的には各種手当や福利厚生、勤務時間等の待遇もよいホワイト企業が多いです




化学メーカーの給料は上がらない・昇給しない
定期的に給料が上がるかどうかは会社規模の影響が大きいものの、少なくとも大手化学メーカーで定期昇給がない会社はありません。日系メーカーでは年功序列の給与体系を採用しているためです。
年功序列はスキルの高い人材を獲得するのが難しい・仕事ができる人や若い人が割を食いやすいということで不評な制度ですが、30代を超えてくると旨味が強く出てくる制度でもあります。



私のいる化学メーカーも
管理職は1,000万円以上はもらっていますよ
ちなみに年功序列の今後ですが、化学メーカーでは完全になくならないと考えています。その理由は大きく2つあると考えています。
- 年功序列はそもそも製造業の雇用維持を目的に作られた制度
- 課単位で仕事をする製造は個人のスキルと成果が完全に紐づきにくい
とはいえ、年功序列が縮小していく流れが進んでいくことは間違いないため、給料を上げるためにスキルを高めていく姿勢が大事になってきます。
化学メーカーはイメージが悪い
「化学メーカーというか工場勤務というだけでイメージが悪いだの底辺だ」とよく言われます。
製造業に従事する身としてこればかりは明確に否定しておきたいです。ものづくりは日本の社会を支える産業の一つであることは間違いありません。
試しに持ち物や家にあるものを思い浮かべてみてください。自動車、家電、衣服、携帯端末、家具、洗剤、おもちゃ、加工食品など…身の回りのありとあらゆるものは工場で作られています。人間が豊かに暮らしていけるのは工場でものを作っている人がいるからです。現在、工場で働いている人は、自分の仕事を卑下せずに誇りを持ってほしい。
そしてこれから工場で働くことを考えている人には、ものづくりは社会に貢献できるすばらしい仕事だということを声を大にして言いたいと思います。



私も水を精製するフィルターを作っていますが
すばらしいものを作っていると思っています
地方や僻地へ勤務する覚悟は必要


田舎暮らしが嫌な人にはマイナスポイントでしかありませんが、化学工場はたいてい地方の僻地にあることが多いです。その大きな理由は以下の3つがあります。
公害規制の問題で都市部に大きなプラントが立てられない
海岸近くの方が原料の運搬に有利
消防法の問題で広大な敷地を必要とする
化学プラントに最適な立地は海沿いの埋め立て地です。工業地帯と呼ばれる地域は軒並み海のそばにあります。どうしても都市部で働くことは譲れないという人には残念ながら条件が合いませんね。
逆に、長く働くなら地元を離れたくないという方もいるはず。そのような方は地元に化学プラントがあれば有力な選択肢になってくるので、ぜひチェックしてみましょう。



研究所とかであれば
都市の近くにあることもあります


まとめ
今回は化学メーカーはやめとけといわれる理由7選を挙げて、現役社員が反論してみました。
単純作業の繰り返し
教育制度が整っていない
仕事が機械とAIに奪われてしまう
給料が低い
給料は上がらない・昇給しない
イメージが悪い
地方や僻地へ勤務する覚悟は必要
化学メーカーは上記のような理由でイメージが悪くなっていますが、給与水準が高く、福利厚生も整っている会社も多いので、おすすめです。




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