はじめまして。私(@hoheikun_cheme)は、大学院卒業後に化学メーカーで技術開発職として働いています。

化学メーカーの技術職なんだけど
どんな資格を取ればいいんだろう?
- 知識を身に着けたい
- キャリアアップしたい
- グローバルに働きたい
など、人によってベストな資格は異なります。
ということで本記事では、化学メーカー技術職におすすめの資格をタイプ別に紹介していきます。
本記事では、ネット上でありがちな「化学系資格を上から順に並べている」わけではありません。
実際に化学メーカーで働いていて、資格の重要性を把握しているわたしだからこそお伝えできる内容です。
本当に必要な資格を厳選して紹介していくので、ぜひ最後までご覧ください。
化学メーカー技術職におすすめの資格6選
化学系資格がどれくらい有利なのか?
化学メーカー技術職が資格を取得すべき理由


【比較】化学系の資格早見表


本記事で紹介する化学系の資格を一覧表で紹介します。
危険物取扱者甲種 | 高圧ガス製造保安責任者(甲種化学) | 公害防止管理者 | 技術士 | MOS | TOEIC | |
---|---|---|---|---|---|---|
難易度 | ||||||
学習期間 | 1ヶ月~3ヶ月 | 1ヶ月~3ヶ月 | 1ヶ月~3ヶ月 | 1年~2年 | 2週間〜2ヶ月 | 3ヶ月~2年 |
学習費用 | 3,000~30,000円 | 3,000~30,000円 | 3,000~20,000円 | 100,000~200,000円 | 2,000~5,000円 | 4,000~100,000円 |
受験料 | 7,200円 | 6,800円 | 8,500円 | 一次試験11,000円、二次試験14,000円 | 9,800円 | 7,810円 |
説明 | 化学や安全管理に関する専門知識を証明できる | 高圧ガスを取り扱う業務に必要な資格 | 公害の原因物質や騒音への対策を講じるなど、公害が発生しないように管理する | 理工系最難関の国家資格 | Excelスキルの証明に最適 | 実践的な英語力が証明できる |
おすすめの人 | 化学メーカーでのキャリアアップを目指す人 | LPガス、石油コンビナートの企業で働いている方 | 工場・プラント・製造業で環境管理・安全衛生を担当している方 | 技術分野での高度な知識と実務経験を有する人 | 未経験から化学メーカー技術職で働きたい方 | グローバルに働きたい方 |
資格によって
学習時間
必要な時間
がかなり異なります。
取得を目指す際は「ホントに上記2点をかける価値があるか」をしっかり考えるのがポイントです。


化学メーカー技術職におすすめの資格6選


「本当に意味のある化学メーカー技術者の資格」について紹介していきます。
その資格がマッチしているかは、人によって異なるため
- おすすめな人
- 活用の仕方
もセットで紹介していきます。
化学メーカー技術者の資格は以下6選
危険物取扱者甲種
消防法では、「危険物」とされる物質が定められており、それらを取り扱う業務には、所定の資格が必要です。
危険物取扱者は、化学や安全管理に関する専門知識を証明する国家資格です。
危険物取扱者には、甲種・乙種・丙種の3つの種類があります。
このうち、最も幅広い危険物を取り扱えるのが甲種であり、試験の難易度も最も高くなっています。
難易度 | |
---|---|
学習期間 | 1ヶ月~3ヶ月 |
学習費用 | 3,000~30,000円 |
受験料 | 7,200円 |
おすすめな人 | 化学メーカーでのキャリアアップを目指す人 |
注意として、危険物取扱者甲種には、受験資格があります。
- 大学or大学院で化学の学科を卒業している(農学、薬学、生物系もOK)
- 大学で化学関係の単位を15単位取っている
多くの方は、前者の条件で受験することとなると思います。受験申込に際しては卒業証明書が必要になります。直前になって焦らないよう事前に取り寄せておきましょう。
上記の受験資格がない方は、乙種の資格(受験資格不要)であれば取得できるので、こちらを受験しましょう。乙種取得後、条件を満たせば甲種の受験も可能です。



直前に一気に勉強する方が中だるみがなくてよいぞ
公式ページ:一般財団法人 消防試験研究センター
高圧ガス製造保安責任者(甲種化学)
高圧ガス保安法で「高圧ガス」という物質が定められており、この「高圧ガス」を取り扱う業務に必要な資格です。
高圧ガス製造保安責任者には9種類資格がありますが、最も幅広く業務をカバーできる(最も強い)資格が「甲種」です。
甲種の資格には2種類あり、「機械」と「化学」のどちらかが選べますが、大学で化学を学んでいた人なら「化学」を選んでおけば間違いないでしょう。資格としての効果は、「機械」も「化学」も同じです。
難易度 | |
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学習期間 | 1ヶ月~3ヶ月 |
学習費用 | 3,000~30,000円 |
受験料 | 6,800円 |
おすすめな人 | 管理職にランクアップしたい方 LPガス、石油コンビナートのある企業で働いている方 |
高圧ガス製造保安責任者は今回紹介する資格の中で、1番難易度が高い資格です。
取得にかなりの時間を要するため、就職してからなるべく早いうちに(2〜4年目)受験することをおすすめします。年次を重ねて仕事の幅が広がり、仕事の負担が大きくなってから高難易度の資格を取得するのは、時間的にも精神的にもかなり大変です。



若手のうちにどんどん資格を取るとよいぞ
高圧ガス試験は難易度が高いため、「検定」という救済措置が用意されております。
検定は、本試験の約半年前に3日間の講習を受けることで、2科目(学識、保安管理)だけ試験を先に受験できる制度です。検定に合格すれば、本試験でこの2科目の受験を免除されます。



高圧ガス試験は過去問が重要です
公式ページ:高圧ガス保安協会
公害防止管理者
「公害防止管理者」は公害の原因物質や騒音への対策を講じるなどして、公害が発生しないよう企業活動の管理を行うための資格です。
一般社団法人産業環境管理協会によって試験が実施されている国家資格であり、公害発生のおそれがある企業には、選任が義務付けられています。
資格は公害の種類によって13のカテゴリーが用意されており、化学メーカーに関連するのは主に大気と水質です。
難易度 | |
---|---|
学習期間 | 1ヶ月~3ヶ月 |
学習費用 | 3,000~20,000円 |
受験料 | 8,500円 |
おすすめな人 | 工場・プラント・製造業で環境管理・安全衛生を担当している方 ISO14001の管理・対応に関わる人 |
公害防止管理者は危険物取扱者、高圧ガスに合格してから取得を考えるのがおすすめです。就職後(3〜8年目)に取得を目指すのがよいです。
水質と大気はどちらを先に取得しても問題はありません。自分の業務に関係がありそうな方を先に取得すればよいでしょう。
どちらがよいかわからない場合は、科目数が少ない水質からの受験をおすすめします。



試験は年に1回(10月頃)にだけ開催されます
公式ページ:一般社団法人産業環境管理協会
技術士
「技術士」は理工系最難関の国家資格です。
専門領域に応じて、化学、生物工学、機械、電気電子、建設、情報など21の部門に分かれています。
試験では技術的な専門知識だけでなく、リーダーシップやマネジメントなどの業務・プロジェクトマネジメント能力が問われる点が特徴です。
難易度 | |
---|---|
学習期間 | 1年~2年 |
学習費用 | 100,000~200,000円 |
受験料 | 一次試験11,000円、二次試験14,000円 |
おすすめな人 | 技術分野での高度な知識と実務経験を有する人 |
技術士の合格率はかなり低く、一次試験は40%前後ですが、二次試験は11.8%となっています。二次試験は筆記の論文形式と口頭試験があるため、合格率が低くなっています。
技術士を取得すると、「試験勉強による成長」、「技術士取得後の継続研鑽」という面で技術者を成長させてくれます。そのため、技術士取得を推奨している化学メーカーもあり、帝人、日本化薬、AGC、UBEグループ、旭化成などがあります。



技術士を取得すると「化学部会」、「化学部会若手の会」、などの会に参加することができ
知識の研鑽ができます
公式ページ:公益社団法人 日本技術士会
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト検定)
MOSは「Microsoft Office Specialist」の略。
WordやExcelなど、オフィスのスキルを証明する国際資格のことを指します。
難易度 | |
---|---|
学習期間 | 2週間~2ヶ月 |
学習費用 | 2,000~5,000円 |
受験料 | 9,800円 |
おすすめな人 | 未経験から化学メーカー技術職で働きたい方 |
とくにおすすめしたいのがMOSのExcelです。
Excelは
- 技術職の実務では当たり前のように使う
- 応募条件に「Excel中級レベル」以上と記載されている求人がある
- PCが使えることの証明になる
など、使えるだけで大きな武器になります。
しかし「Excelできます!」と言葉で伝えてもイマイチ信憑性にかけますよね。
そんなExcelスキルの証明になるのがMOSです。
ちなみにMOSを取得してほしいのは「技術職未経験者」のみ。
経験者は実務経験があるだけで最低限のExcelスキルが証明できるので不要です。
ぜひこれから化学メーカー技術職を目指す方は、ぜひMOSもあわせて取得してみてください。
完全初心者でも約80時間で取得できるため、そこまで難しい資格ではありませんよ。
PCが苦手な人も、練習と思ってぜひ取得してください。



MOSは、ExcelがあればOK
難易度は、いちばん簡単な「スペシャリスト(アソシエイト)」で大丈夫
公式ページ:MOS公式サイト-マイクロソフト オフィス スペシャリスト
TOEIC
TOEICは、ビジネスや日常生活での実践的な英語力が問われる試験です。
難易度 | |
---|---|
学習期間 | 3ヶ月~2年 |
学習費用 | 4,000~100,000円 |
受験料 | 7,810円 |
おすすめな人 | グローバル/外資系化学メーカーで働きたい方 |
化学メーカーと英語は関係のないイメージですが、世界に拠点をおいている「グローバル企業」や「外資系企業」では、化学メーカーでも英語力が求められます。
そんなグローバルで活躍したい方にとって、英語力の指標となるTOEICは最適です。
判定は990点満点のスコア形式。
ただ学習時間に関しては
- 現在の英語力
- 企業が求めるスコア(「500点でOK」「700点以上必須」など)
によって大きく差が出ます。
目標としている企業がある方は「どのくらいの勉強期間で目標レベルに達せられるか」を逆算して考える必要がありますね。



TOEICは600点以上あると
面接のときに評価されますね
公式ページ:TOEIC公式サイト – 国際ビジネスコミュニケーション協会


化学系の資格は無駄に取りすぎないのがポイント





化学系の資格はたくさんあるし
どんどん取得すべきじゃな
少し待ってください。
化学メーカー技術職の資格はムダに取りすぎないのがポイントです。
実は技術職の資格で検索すると、本記事で紹介したもの以外に
- 毒劇物取扱責任者
- 化学分析技能士
- 特定化学物質作業主任者
- 有機溶剤作業主任者
- 特殊化学設備作業者
- エネルギー管理士
- 機械保全技能士
- ボイラー技士
- フォークリフト運転技能講習
- QC検定
などが出てきます。
でも、あえて本記事で紹介しなかったのは、ホントに意味のある資格を取得してほしかったから。
例えば、転職活動で有利になるために資格をとっても認知度が低かったら意味がありません。
知識は身についても多くの時間を失います。
だから
- なんのために資格を取るのか
- 資格の勉強時間はムダにならないか
などは、しっかり考えた上で資格の取得を目指してみてください。
おそらく多くの方は、転職(キャリアアップ)のために資格を取るかと思います。
であれば、その転職にマッチした資格だけを取得し、あとは転職活動に時間を割くほうが効率的です。
同じスキル、経歴でも、魅せ方次第で大きく結果は変わります。
なんなら「市場価値を確認したら年収100万以上アップできそう」といった結果もよくある話。
資格を複数取得しなくても、目的が叶う可能性は十分あるんです。
ぜひみなさんには
- 目的に合った資格を取る
- まずは市場価値を確認してみる
- 転職活動に力を入れる
上記3点を意識してもらえればと思います。
市場価値に関しては、転職エージェントに相談することで超簡単にわかります。


資格があれば就職・転職は有利になるのか



資格をもっていたらどれくらい有利になるの?
資格を持っているからといって、就職や転職で「すぐに採用される」というわけではありません。
たとえ化学系の資格を持っていても、弁護士や医者のように「資格があれば仕事に就ける」という職種とは違い、資格だけで採用が決まるケースはあまり多くありません。
というのも、企業としては新しく資格を持っている人を採用するより、今いる社員に資格を取ってもらって手当を支給する方が、コスト的に安く済むことが多いからです。


化学系資格の取得を推奨すべき理由
仕事の中で資格の用語が出てくる
例えば、危険物取扱者の資格を取得しても、「なぜ危険物の保管をルール通りに分類すべきか」、「危険物にはどのような分類があるのか」、「どういった基準で分類しているのか」といったことをすべて暗記して仕事をすることはありません。
しかし、資格試験に出てくる専門用語を使って、業務中に会話をすることは多々あります。専門用語を知っておく、聞いたことがある状態にしておくと、理解しやすくなります。



専門用語を知っているだけで
業務が円滑に進みやすくなりますね



利益があるなら取るべきじゃ
資格を取得していて当然という風潮
化学メーカーで働く技術職の人たちの間では、「いくつかの資格を持っていて当然」という風潮があります。たとえば「危険物取扱者」や「高圧ガス製造保安責任者」などの資格は、多くの人が取得しています。
そのため、何も資格を持っていないと、「この人は新しいことを学ぼうとしないのかな?」と思われてしまうこともあります。
そう思われてしまうと、社内での印象が悪くなり、人事評価にも影響が出てしまう可能性があります。また、他社へ転職する場合でも、資格を全く持っていないと不利になるケースがあります。
たとえ業務に直接関係しない内容だったとしても、勉強して資格を取っておくことで、そういった不利益を避けることができます。
そのため、今のうちから少しずつでも資格取得に取り組んでおくのがおすすめです。



会社によっては資格手当を出してくれる会社もありますよ


まとめ


化学メーカー技術職におすすめの資格は次の6つです。
など、化学メーカー技術職に有効な資格は数多く存在します。
ちなみに、資格は
- なんのために資格を取るのか
- 資格の勉強時間はムダにならないか
をしっかり考慮した上で取得するのがおすすめです。
ぜひ資格を取得する前は、本記事を参考に一度立ち止まって考えてみてください。
また、多くの人は転職するために資格を取得する方が多いハズ。
そんな方はぜひ自分の市場価値を確認してみてください。
「資格を取らなくても年収100万以上アップしそう」といった例はよく聞く話です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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よければ他の記事も参考にし、楽しい技術職ライフを送るための判断材料にしてください。






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